まっしろな嘘

ニンゲンを勉強中のヤヤネヒによる、なんかいろいろ。

VRの「萌え絵」コンテンツって実際どのくらいあるのかなっていう話

今回の記事は繋ぎのつもりだったのですが

実は前回記事、

www.masshirona.red

そもそもだな、

「タレントであるキズナアイ先生の人格権と肖像権そっちのけで外見が話題を呼んで、モデル側に勝手に人格を実装する人が発生した+女の子であることにあれこれ言われだした」件と、「完全自律思考が可能なセクサロイドと、ドールを作る技術を混同するような海外ドキュメントが話題になった」、これは通底する問題じゃないかという感覚がヤヤネヒ的にあってですね。

AIもVRVtuberもよくわかっていない人が意外にいるっぽい。じゃあ、ちょっと話をはっきりしておこう、と思って書き始めたのです。

でも、「キズナアイ先生はAIではない(VRは無関係ではないけどコンテンツ展開の主軸ではない)し、キャラクターがあり、中の人がいる」という話と、「現在の人口知能技術がどの程度のもので、どの程度の実現性があるのか(T.Katsumi氏が主張するようなセクサロイドは、現在は技術的に実現できない)」という話をやるにあたって、「AIとは何か」「Vtuberとは何か」から説明しはじめると長い。

あいあむぶいごーっど!!! (なけなし)(右の柱か、スマホの人はコンテンツのさいごのほうみて)*1

ので、AIとVtuberで記事を分けてやっておこう、っていう流れがあって……岡田育氏(先生はよからぬ言うてはったので訂正)からブコメ頂いてましたが、何故、件のツリーを、前回、後半の話のマクラにしたのか(仰る通り、前回記事単体だと、最初の話はマクラなんですけど…)、岡田氏の発言が最新技術へのフワっとした理解からくるフワっとした意見が、「新しい技術を古い乳袋に入れる」=「新技術を女性のSexualizeする表現と結びつける」言説として拡散されていて、「不正確な現状認識を、漠然とジェンダー批判に結びついていく」流れに繋がるように感じたからです。

これは、SNSジェンダーまわりの議論ですごく起こりやすい事であると認識しています。そして、とてもよくないです*2 入りでめっちゃdisっててすみません。

で、今回の記事、最初に書いた通り、繋ぎのつもりで書きだしたんですけど、結構な量になってしまいました。しまった。あと、ゲーム・アプリ系が中心です(「バーチャルゲート」のみ、VR動画とアプリのポータルが一緒だったのでそのまま見ました)。

一応、VRって何ですかっていう話をしておきます

まずざっくりとした話

直訳すると「仮想現実」で、「ユーザの五感を含む感覚を刺激することにより理工学的に作り出す技術およびその体系」ですが、現在はだいたいVRゴーグルを利用した360度体感型(視覚・聴覚)のコンテンツ及び技術を指すことが多いです。技術イベントなどにいくと他の互換、触覚・嗅覚などを扱ったプロダクトなどがあったりします。Go Touch VRなど、触覚にアプローチするデバイスも開発されてるけど、映画やアニメのような「フルダイブ」的マジックはない。

いまの主流は前述のVRゴーグルむけプロダクトなので、今回は主にソチラの話をします。有名なVRゴーグル「Oculus」の開発メーカーの創始者のパーマー・ラッキー氏は、「ソード・アート・オンライン」に憧れてOculusを作ってしまったというすっ飛んだオタクさんだったりしますが、…この話はどうでもいいな。やめる。

VRゴーグルには、Oculus、HTC Viveに代表される(あとPlayStation4 VR)ハイエンド系、スマホを利用するローエンド系(VRゴーグル、Gear VRなど)がある。

ええと、ハイエンド系は……ななまんえんとかする? 今年、Oculusの小さいの、「Oculus Go」というのが出ました。これが30000えんくらい。とはいえ、ハイエンド系はちょっと手が出ない感じ。ローエンド系はスマートフォンをもってたらゼロみっつで買える。

ハイエンド系は、ギーグでないと技術イベントがゲームショウ、Bitsummit(インディーズゲーム博覧会的なイベント)なんかじゃないと試せない、みたいなちょっとお高い奴らであった。

最近はハイエンド系も少しだけ手軽に試せるようになったみたい

ちょっと前に神が行ってきた「快活倶楽部(ねっとかふぇ)でFOVEって知らない機種があってびっくりしたんだけど、なんと、ハイエンドVRゴーグルの貸し出しがされている!……一時期のネトゲPCみたいだね。自遊空間さんでも、人気のHTC Viveなんかを取り扱ってるらしい。

www.kaikatsu.jp

jiqoo.jp

あと、すくないけどVRカフェというのがある。体験系のアトラクションをがっつり遊べる。

www.vrex.jp

ここでアフィリエイトなど貼りたいのですが、上の三つはふつうのリンクです。ざんねん。ざんねんでもない? VRカフェは行けたら記事かくかも。

ということで、VR萌え絵コンテンツってどれくらいあるのかなって

漫画喫茶で見たときは、4割は女性向け含むAV、4割ホラー、残り旅行系とFPSみたいな感じで。「萌え絵」っぽいコンテンツで見えたのがエロマンガ先生VRだけで。「多い」ってもしかしてイメージが先行してない? と思ってて……なので、バーチャルゲートと、SteamとPlayStationVRとAPP Storeののソフトを差し当たり数えに行ってみたよ。

「萌え絵とは何か」という地獄のような問題については深く考えない。

神が萌え絵だと言ったら萌え絵。 あと実写系はノーカンです。軽く拾ってるけど。FANZAにアホほどあるけど、インタラクティブコンテンツやVRアニメ作るのと、視点固定のVR風動画にバイノーラル音声っていうのだと、製作コストが段違いなので。。

Steam

最初にSteam。 説明不要かなと思うんだけど

f:id:chat_le_fou:20181102225227p:plain

PC向けのゲームやアプリがダウンロードできるサイト?です。ここにあるVRコンテンツは、ゲームによって対応機種が違うけど、OculusとかViveとかハイエンド機向け。

f:id:chat_le_fou:20181102223948p:plain

VR」3506件中「VR アニメ」で49件…ちがう。少ないな、ANUBIS(ロボゲー)とかWantedKiller(マッチョなバディもの)とかも入ってる。これははずして36件。

有名なVR Chatやface rigですが、前者は3Dアバターを使えるチャット、後者はフェイストラッキングでモデルを動かすツール(ライブ配信などができる)で、アニメ系アプリではないので除外しています。

つぎ、「VR 美少女」無かった。3506件中、36件。神の探し方が悪いのか、日本製のが少ないのか。

Play Station VR

プレイステーションぶいあーる。 プレステ4につないでつかう。

www.jp.playstation.com

ソフト検索。どーん。

f:id:chat_le_fou:20181102224458p:plain

母数が少ないので普通に数える。

179件中、萌え系っぽいの…

閃乱カグラ」「Re:ゼロから始める異世界生活」「超歌舞伎VR」「ブレイブウィッチーズ」「星の欠片の物語」「FGOマシュ」「新次元ゲイムネプテューヌ」「傷物語」「クロワシルール・シグマ」「初音ミクフューチャーライブ」「初音ミク -ProjectDIVA-」「アイドルマスター シンデレラガールズ ビューイングレボリューション」「東方紅舞踏Ⅴ」リアル系が「360デート おさななじみ」」「サマーレッスン(×3)+全部入り版」なので、萌え系13、リアル系もいれる?

あわせて18。179本中18本。 あんまり多くないです。大きな数え間違いも起きづらいと思います。見たままななで。

バーチャルゲート

快活空間に置いてあった「FOVE」向けのVRコンテンツシアター(らしい?)。

しらないぞって思ったら、女性起業家さんが主導のプロダクトだそうで careerhack.en-japan.com 国内展開で漫画喫茶を狙っていくつよさ!

ゲーム系34本中「乖離性ミリオンアーサーVR」「ぎゃる・がんVR」など、7つ。あと学生応募作品のひとつ、「Unityちゃんクラッシュ」。 コンテンツリストはこんな感じ。

f:id:chat_le_fou:20181102235158p:plain

アニメは「planetarian フル3D」「気ままに☆サマーバケーション」「kiss×kiss×kiss」「キセキ的Shining!」ぜんぶ女の子もの。ゲーム、3Dアニメと合わせて、37本中11本。ここまでだとパーセンテージ的にはいちばん多いかも。

グラビアが一緒においてあるけどAVじゃないあたりが漫画喫茶っぽさある。それと、「マジカルデイズVR」と「戦国女子VR」(女性向け)がある… PSVRとかSteamにハイエンドVRゴーグルの女性向けコンテンツはなかったのでめずらしい。

あと、女性向け実写コンテンツA15本(特集コーナーにあったぶん、右スクロールでべーっと数えたのでカウントミスがあるかもです?)。めずらしいしなぞろえです*3

App Store

f:id:chat_le_fou:20181102225021p:plain

APP storeで「VR アニメキャラ」「VR アニメ」「VR 少女」などで検索して目視でカウントしたら11件(男女汎用系が+3くらい、トップにあるPANORAとか、DMMとか)…すくないですね。探し方悪いかも。

最近話題のVカツ!とカスタムキャストは入れるべきか。入れてもいいか。これはアニメ調の3Dアバターを作れるツールです。

あと、App store、想定外だったのが、女子向けが多い。

f:id:chat_le_fou:20181102225830p:plain

挙式…挙式VRとは…

あとキンプリ。KING OF PRISM。

f:id:chat_le_fou:20181102225935p:plain

原作が3Dのアニメなので、モデルをそのまま使えるなら作るしかー!って感じでしょうか。CS-REPORTERSとボルテージさん、めっちゃ頑張ってますね(ほぼ独壇場…)

キンプリファン、周囲だと男子が異様に多かったので適当に勧めておきたい。どうなんだろうVR需要。

ということで、スマホアプリだと、アニメ絵の女の子アプリと男の子アプリが同じくらいあるという意外な結果でした。これは面白いんですが、もう少しないかなあ…

VRプロダクトではないですが

開発コミュニティでUnityちゃんというキャラクターモデルが頒布され、愛好されてきた経緯がありまして。バーチャルゲートの学生作品にもunityちゃんいましたね。Unityちゃん、プロ生ちゃん(『プログラミング生放送』看板娘)、今だとキズナアイ親分、ニコニコ立体のアリシア・ソリッドちゃんあたり、「とりあえず画面に立てる」「アセットを試す」「トゥーンシェーディングを試す」などのweb記事や、ゲーム制作系の技術書などで使われてる感じ。これは、特殊なライセンスがあって、技術デモなどでの利用がフリーになっているため。例えばUnityちゃんはUnityちゃんライセンス

Unityちゃんライセンスのキャラは他にもいる(下の関係図だと、ジャックさんとか3Dモデルがある)んだけど、なんやかやUnityちゃんが一番人気っぽいです。

f:id:chat_le_fou:20181107192023p:plain

ただ、ハッカソンとかで彼女たちのモデル使ったチームは意外とみてない(神のいたチームは会場のプロジェクタでラッシャイとガルパンの鑑賞会やってたけど。会場で。プロジェクタ持ち込みで)

テック系で女性向けコンテンツが増えにくい事情

この話ですね。

前からぼんやり分析してて、説明すると長いのでべつに書こう…って思ってたんだけど、

実際に数えてみたら、女性向けVRコンテンツ、ヤヤネヒが思ってたより多かったです。もっと少ないかと思ってた。とくにiphone/Andloid向け(VRゴーグルとかで見るやつ、安いのは1000円くらいで買える)だと、ターゲットの関係か、男性向けの向こうを張っている……ぶっちぎりでボルテージさんとCS-REPORTERSさんだけど…*4

スマホVRゴーグル。こんなかんじ。たかいのはいちまんえんとかする。

余談:FANZAさんの事情

FANZA(=DMM)さんの実写アダルト動画、男性向け5860タイトルに対して女性向け7タイトルです。実写。DMMさんは追って調べます。2D動画を魚眼化→二画面3D化、音声のみバイノーラルみたいなのが多そうSILK LABOさんのVR、値段が3倍くらいするんだけど(男性向け1000円↓だけど3000円くらいする)、360度カメラ使ってるとか? ではないか…。

こちらではゲームタイトルも扱っているので確認してみたのですが、『萌え』で『VR』系は「ぎゃる★がん」のみで、あとは一部PS4タイトルの通販のみでした。改めて確認したので追記。

追記:たまたま知る機会を得たので、別にかきました

www.masshirona.red

ということで

VRアプリに関しては

「美少女を結びつけた」タイトルばかりってことはないっぽいです

というか、ヤヤネヒ的には思ったより少なかったです。1割を多いとは言わんやろー…

てことで、

テック分野で、VRやARを語るとき必ず「美少女」と結びつくというような状況はありません。

初音ミクはなー… もう市場とか文化圏が特殊だから初音ミク単体で考えたほうがいい気がするな……類例としてはVtuberやVRCで、話題性やユーザーの吸引力としては高いけど、プロダクト全体としてはそんなに広くない。どちらかというと、テック業界がVtuber等の人気を後追いしている傾向のほうが強いと思います。

Unityちゃんは業界的には有名だけど、外野の知名度がないせいか、炎上演出案件とかで俎上に上げてられてるのめったに見ないかも。『萌え』バッシングに向けて「Unityちゃんに惹かれてUnity社に入った」という女性スタッフさんが憤っている所を見た記憶はある。

「知ってれば語れる」程度には(数が少ない中で)各コンテンツの密度が高いのと、オタク界隈で画像が流通しやすいですが、全体では多くないです。*5

エンジニアにオタクが増えるのはPCに齧りつく仕事柄、自然な帰結だと思うんだけど、その割には少ないんじゃないですかね。技術書典(技術系同人誌即売会)でも言うほど萌え絵の表紙ばっかりじゃないし。あと、総数が少ない中で女性向け二次元・三次元娯楽コンテンツが思った以上に頑張ってました。スマホ市場では男性向けの向こうを張れる勢い。ちなみに、リリース数でボルテージさん(携帯向け乙女ゲーの老舗)と並んでいたCS-REPORTERSはVtuber、東雲めぐちゃんの親元筋ですね。アニメ系に限らず、広範なプロダクトを手掛けて居られるようです。

「FOVE」ってVRバイス、ヤヤネヒ知らなかったんですけど、通常の動画コンテンツに加えて、わりと女性を狙えそう?*6 Unityで作れるのかな……開発、興味あります。

Vtuberに関しては女性モデルのほうが多めだと思われますが、これは次回以降で*7

Twitterでは自分もわりと裏取りが甘い話を書くので、他人様を強く批判できないのですが、ジェンダー論周りは曖昧にバズった…言説?がそのまま事実として扱われがちなので、曖昧にしておくのはよくないと思ってて。

正直、言説的には、前回も書いたけど、BBC-Newを紹介したT.Katumi氏のツリーのほうが問題度高いとは思うんですけど。

人工知能とロボット工学」「ラブドール」についての番組から、いきなり「セクサロイド」「児童性虐待装置」の話を始める大跳躍! 何回でもいうけど、こういうのだめ。ほんとうによくない。

最近、『ネットロアをめぐる冒険』さんをよく読んでて、

www.netlorechase.net

この粒度の記事を短スパンで出してらっしゃるのすごいなあ。

統計ネタは調べるのたいへん。*8

*1:ここで話題が散らからないように少年なんとかさんのセクシスト加減を批判した動画そのまま貼るのを我慢する神のえらさ、このときめっちゃ怒ってた

*2:ヤヤネヒは、ブログの同じカテゴリで、所謂、弱者男性界隈で出ていた『上昇婚』云々の話をめっちゃ批判してますけど、これも「不正確だ、よくない」と認識したからです

*3:数えちゃうのは趣味、開発者の皆さんにはがんばってほしい。あと作りたい

*4:他にやってるところがない

*5:AR撮影コンテンツだとミクとデレステが一時期猛威を振るってたけど、そりゃまぁよくわからん猫とか謎の人形より推しのアイドルと写真を撮りたいだろう、それが人間である

*6:VRコンテンツって、アクセス性の悪さから『どのデバイス向けに作るか』がわりと問題になるので。女性向けがスマホに多いのはそのせいだと思います。して、「FOVE」は漫画喫茶を攻めている、これはつよい

*7:アンテナサイトで調べればある程度統計出せるかもしれない、のじゃロリおじさん系まで検索で調べられるのか怪しい

*8:今回はネットで見れるのを手動でざーーーっと数えただけなので、統計ネタというほどでもなくて、正直『上昇婚』のやつのほうが難儀してて、アバターが図書館に3回くらい行ったのですが、家族制度の話とか収入の話とか、まだ〆られてない…