微妙に前回の続き。有名な発達障害治療薬に関する経験論とか、薬物療法の是非について思うところとか。
前回はこちらです。 www.masshirona.red
えー、ヤヤネヒのアバターの話なんですが、
ストラテラは「一年継続すると習慣が変わる」との紹介を読んで、一年がんばって飲みました。継続服用は10mgが限界という少量処方でしたが、総合的にはまぁまぁ効果はあったと思います。以下。
改めて、発達障害治療薬のお薬ごと所感
ストラテラの感想
「世界が静かになる」これが5mgを初めて飲んだときの感想。
頭の中で走り回っている思考がピタっと止まる。ただ、体調が悪いときに飲むとうつと希死念慮が悪化して動けなくなるので、そういうときは自己判断でストップしてました(『すごい少ないから無理して飲まないでいいよ』と言われていた)。目の前のことに意識を集中することが楽になる一方で、ケアレスミスは治らない。ただ、通常時だと「ただ忘れてる」のが、「あっ、今意識が飛んだぞ」というのが意識できるようになる、という感じはありました。
慣れてきて量を増やすと偶に躁転があった。服薬期間中、瞑想(日本ヴィパッサナー協会のコースに7年ほど通っていますが、瞑想っていうよりボディワークで、一定時間、呼吸に意識を集中する・体感覚の観察を行うことで意識をフラットにしていく、というものです)と併せて続けたのは非常によかった気はする。
その後、双極の治療に入って通えてないのですが(以前は発達障害の自覚のほうが強かったので、服薬の許可をもらって参加していたのだけれど、『自分の状態』への感覚が鋭敏になって、躁状態への転移やパニックなど、気分障害の病識が強くなっていきました・治療中だと流石にだめっぽい)、しんどくても淡々としていられるのはこの辺のお陰な気がします。二年ほど掛けて、「頭の中が静かになる」状態の再現性が上がった。複雑性PTSD症状持ちなので、時々荒波のような発作の自覚がくるのですが、「ああ、来てるな」という感じ。あと、運動性チックと右腕の痙攣があったのが治っ…たのはストラテラの話じゃないけど「混乱から逃れた状態」みたいなのを習慣化する助けにはなったと思う。
単体だと、不注意の改善は難しいのですが、継続服用や心理療法との併用(あばたーの場合は坐ることだったけど、まぁ色々あると思います)で劇的にパフォーマンスが変わる可能性はある、という感じかなと。業務効率は格段に上がったと思います。ただし動けるときにかぎる。
現在は、服薬時に大きな変化を感じないのと、主治医も強くは勧めないので飲んでいません。特殊な例かもしれない。
リタリン
視界が魚眼レンズみたいになってぶっ倒れたので服用できず。
コンサータ
「不安、緊張、興奮性がある」「運動性チックがある」で禁忌。「コンサータで初めて人間らしくなれた」という人の感想を見るにつけ、「どういう感じなんだろう…」とアバターは疑問に思っている。らしい。
まとめ
ほとんど飲めてないのでストラテラしか書くことがないな!!!!
初めて飲み始める方へのアドバイスですが、発達障害治療薬・気分障害や、てんかんの治療薬は、共に副作用として「口渇感」がすごく強いので、飲み物を常備する習慣をつけることをお勧めします。アバターは、家ではタンブラー、たまの外出時にはペットボトル持ち歩くようになった。冬はマスク必須です。もうすぐ春だけど。
お薬飲むのは是か非かみたいな話
以下、全く専門的知見じゃないんですがやはり所感。
まずSSRI系の抗うつ剤には慎重になったほうが良いように思う
前回書いた通り、躁転のリスクが高いので。発達障害の臨床知見って、未だそこまで一般的でないようで、病院によっては先生が知らなかったりする。 初めて掛かった医院でパキシルを処方されて双極が固定化した件については専門院じゃなかったので先生を責められない気がしますが、転居などの事情もあり、5回くらい転院したり診断のために別の医院に通ったり、貧困状態で通院できない状態が続いたり… の中、ちゃんとした薬物療法が受けられたのは現在のお医者さんを含め、二箇所のみでした。最初の病院を除外すると、全て発達障害を診療項目に入れているところです(発達障害は無理なので転院して、で足掛け通院になったところが別に二軒ある。病院探しはつらい…)
とはいえ、臨床経験の多い先生はある程度配慮してくれるんじゃないかなと。 *2
依存性の強い薬は避ける
- アルコールにしろお薬にしろ依存しやすい傾向があるっぽい
- 飲み忘れでの症状の乱降下の防止
- ほんとうに初期の鬱状態で自殺企図があった
以上の理由から、リスクヘッジで。 ヤヤネヒのアバターは、抗不安薬として、頓服で依存性の強いデパスではなく、半減期が長く、飲み忘れてもリスクの低い、レスタスを出して貰っています。1回飲むと3日くらいは平気で、飲み忘れても問題がないし、しれっと服用停止してもまぁまぁ平気*3
治療薬について、二次障害が固定化している人はちょっと慎重さが必要な気がする
二次障害が固定化してるケースは少し慎重になったほうが良い。
というのは、前回書いた通り「発達障害と双極性障害は併発しやすい」からです。ストラテラはざっくり言うとSNRIからセラトニンの再取り込み作用を抜いたもの(なので、ノルアドレナリンの賦活作用が強く、抑鬱傾向のある人が飲むと、セラトニン不足で症状が重くなる場合がある)、コンサータは更にドーパミン系への賦活作用があるもの、と認識していますが、どちらも、躁状態を誘発する傾向があるからです(特にコンサータ)。
二次障害が軽い(躁鬱や不安障害などで生活に影響が出ていない)ケースや、小児のほうが危険がすくないのでは仮説
効能が「クセの修正・強化の防止」に留まるので逆にリスクが減るのかなと。まぁ一当事者の所感なので、専門性はない旨は強調しておきます。小児への処方は、まず大前提、専門性が高いからそうそう適当には行われないでしょうし。一時期話題になってた、アメリカの発達障害児童へのパキシル処方とかはやべえなとちょっと思う。
不安や抑鬱に加え、躁病エピソード、つまり、「気分がハイになりすぎてやらかした」とか、過集中からの虚脱などの傾向が強い場合、事前に先生に相談して、アッパー系のおくすりの過剰処方に注意してもらったほうが良いのかなと思う。不眠や自律神経障害の原因が、発達障害ではなく気分障害(及び固定化)にスライドしている可能性があるので。あ、
飲まないほうが良いという話ではない。ねんのため!
「いっぱい薬が出てると効能が被ってる」とか、けっこう起きちゃうので。あと「飲む時間が効能を左右する(寝る前はダウナー系、朝イチはアッパー系)」は、まぁなんかいい加減なヤヤネヒが言うのもあれだけど大事な気がします。生活リズムの死守、だいじ。発達障害者、破滅的な生活をしがちだからこそきをつけたいですなー。
〆
服薬の是非の議論をしばしば目にするのと、前回書ききれなかった部分があったので、追記として書いてみました。あくまで一当事者の経験と、個人的に勉強したことに基づく所感ですが、書きとどめておくことに意味はあるかなと思うので、以上、置いておきます。強調したいのですが、『薬物療法よくない』という意図は一切ありません。
発達障害者が生きるのは難しいのだ…みんなむずかしいけど…それだけなんだ…